国際航空券 運賃計算

汐留の全日空本社を訪れようと地下鉄で移動していた時、わたしはひらめいたよ。

国際航空券運賃計算。よくお客さんから聞かれるのが

周遊航空券のうちどこからどこがいくらずつか、っていうこと。

いつも困っていた。そんなの正確には出せないんだ。

別にわたしの知識が未熟だからじゃなくて、ケンに聞いたって誰に聞いたって分からないよ。

 

 

国際航空券って距離計算だから、一区間ずつの運賃を合算しているわけじゃない。

出張予算を自分の会社のどの部署が持つかがあって聞いてくるんだと思うけど、

いつも周りに聞いて計算してもらっていた。

その計算も何も根拠もないものって聞くから感覚的に決め付けていた運賃だって。

それなの。わたしは今朝市ヶ谷から飯田橋で乗り換えて大手町に向かったけど、

同じ東京メトロだから通し運賃でしょ、それを市ヶ谷から飯田橋までと、

飯田橋から大手町の運賃を別々に出せ、って言われても困るでしょ。

別々に160円と160円と足すと本当の運賃をオーバーしちゃうし、それぞれの運賃なんて出ないよ。

この例を使ってお客さんに説明すれば納得してもらえなくない?

それでも根拠のある正確な運賃を別々に出せ、って言ってくる人もいないと思う。

でもやっぱり別々に出して欲しい、という人に対してはホント適当だけど感覚的に数字を割り振ってあげる。

距離計算だから、同じ場所に行くにしても直行便と経由便で運賃は違う。

日本からヨーロッパに行くのでもロシアを通る北回りと、

シンガポールとかの南回りじゃまた違ってくる。運賃計算ってルールが多過ぎ。


あとは途中降機、24時間以内のストップオーバーってのがあって

乗り換えとかそこに一泊しても、24時間以内なら通過っていうことにするの。

東京メトロでも違う線に乗り換えするときに30分以内だったら同じ切符でいいけど、

超えちゃうとまた買い直しでしょ。あれと一緒の考え方だよ。

だから、国際航空運賃って地下鉄の運賃の出し方を例にして説明すれば

分かってもらえるってわたし見つけた。

区間区間を足してゆくセルフサービスレストランスタイルじゃないよ。

これとこれを足して全部でいくら、という福袋スタイルなの。

そこにはNUCとかROEとかMPMやTPMとか旅行業界の専門用語が加わって

より良く分からない世界を作り上げている。

インフォメーションテクノロジーの分野がもっと進んだら簡単にできる運賃計算が登場するかもね。

 

 

ボタンひとつで楽に運賃が出てくる仕組みは個人的には歓迎だけれども、

そうすると旅行会社はいらなくなっちゃって、わたしは転職しないといけないのかなぁ。

旅行者と航空会社間の直販関係は進み、航空会社が建前のことだけじゃなくて

実情に合わせた丁寧な案内をして、査証も各国大使館が

HP上で受けつけるようになったら、旅行会社はもう出る幕じゃない。

運賃計算っていうややこしいもの、やっぱりあれはいつかは消えてゆく運命なのでしょうね。

時代に飲まれてゆくわたしは旅行会社。

親分の航空会社に引き寄せられてゆく姿をイメージして、わたしは汐留の高層ビル、ANAの本社へ入って行った。

マイレージ アップグレードクーポン

「マイレージのエリート会員になったらアップグレードクーポンってもらえるの?」

よくお客様からアップグレードクーポンを使ってビジネスにあげたい、っていうリクエストがある。

自分で航空会社のホームページを見てみれば調べがつくけど、ケンなら知っていると思って聞いてみちゃった。

 

 

「そうだね、ほら、そんなリクエストしてくる人ってよっぽど何回も海外出張に行く人じゃない?」

言われてみればそうだ。わたしが電話を受けた人もそれこそ毎月に近く海外出張に出る方で、

きっとパスポートのスタンプページは各国の出入国スタンプで埋まっている。


「旅子、キャリアにリクエストしてみてどうだった?

すぐにアップグレードのOKが出たかい?」

「それがね、ケン。いつも決まってキャンセル待ちからスタートなの」

「でしょ?僕もすぐにOKもらえたケースってあんまりなかったなぁ。

お客様にアップグレードはキャンセル待ちです、って伝えると結構がっかりされるでしょう」

「そうそう!みなさんすごく期待してリクエストしてくるみたい。

たまにすぐにコンファームできるけど、即OK出たらわたしも嬉しいもん」

「各航空会社のマイレージ上級会員になると毎年特典が送られてくるんだよ。


JALはペーパーのアップグレードクーポンだし、

ANAはポイント制のペーパーレスのアップグレードポイント。これは貯めたマイレージとは全く別だよ。

マイレージを使わずに無料で一つ上にアップグレードできるクーポンさ」

「やっぱり相当なリピーター用なんでしょ?

でもなんでアップグレードってなすぐにOK出してあげないの?」

「そこだよ。やっぱり航空会社も公共交通機関とはいえ営利目的だから、お金のことも考えないといけないんだ

いくらリピーターっていっても、お金を払ってビジネスクラスや

ファーストクラスを買ってくれる人たちの方が優先だよね。

だからアップグレード特典を使っても沢山の人にOKは出ないんだ。

お金を払うお客様たちが大優先で、でも空席状況を見ながら出発前に近付くと

アップグレードクーポン利用の人たちにOK,旅行業界用語で言う”KL”を返すのさ」

 

 

「お金ってそんなに違うの?」

「大違いさ。例えばヨーロッパで、エコノミークラスはピンキリだけど

まぁ企業の海外出張者なら20−30万円のチケットだろう。

ビジネスは100万円ぐらい。ファーストは160万ぐらいだ。

この数字を聞けば分かるだろう?こんなに違うからお金を払う顧客が優先される。

だってビジネスやファーストの席が航空会社にとって重要な収入源になっているのだからね」

「そうか〜。じゃぁあんまり期待が多過ぎるのもつらいわね。

お客様には初めからあんまり期待しないように言っておいた方がいいかな?」

「まぁそうだね。少なくともアップグレードクーポンを持っている

=確実に1ランク上のシートに座れるわけじゃない。

もちろんすぐにOKが出ることはあるけどね要らないものを、優先順位の高い要る人に提供する。

そういうことは大切なこと。あとは実情に合った案内を僕たちができるかだよ」

なるほど。このこともみんな案内次第ってことね。 人は誰も期待してしまうもの。

アップグレードできなくて落ち込むのはお客様なのだから、

上がってもうけもの、ぐらいの気分でいて下さいね、と言ってあげようとわたしは思った。

アメリカ 出入国カード

物事には様々な解釈の方法がある。

現実は一つでも二者いればそれぞれの主張は違うし、

法律の解釈でも弁護士や裁判官によって異なるものが出てくる。

この世の中はそういうものだ。

 

 

海外旅行の世界だってそれはある。

例えば国際航空券の発券運賃、折り返し地点・フェアブレイクポイントをどこで取るかによって運賃は違ってくるし、

査証の申請書の書き方だって各国大使館の窓口の人によって正解はまちまちだよ。

何もそういうことがイヤでイヤで耐えられない、と言っているわけではない。

各人がプライドを持って生きていればこそ、そういうことが起こるのだから。


――さて。アメリカの入国カードが2種類あることは知っている人も多いだろう。

アメリカビザを持っている人は白色のI−94。

ビザ免除プログラムで入国する人は緑色のI−94W。

自分が該当する方を使えばいいので話はシンプルなのだが、1パターンだけややこしいケースがある。

有効なアメリカビザを持ちながら、しかし今回の訪米目的がビザを必要としないビジネスミーティングの人は、

白と緑、どっちの入国カードを出せばいい?


こういう実例がある。

その人は有効なアメリカ就労ビザを持っていたが、すでにアメリカ駐在を終えて日本に帰任していた。

アメリカ出張が入ったので当然のように今回からは緑色の入国カードを使いビザなしで入ろうとしたが、

入国審査官に「ビザがある奴は白色で入国するものだ」と言われて、

実情帰任済みで本来使えないはずのビザを使わされて入国した。

また別の出張者はやはりアメリカから帰任そうそうだが、

残っていた仕事を片付けにアメリカに入国し、あきらかにビジネスミーティングではなかったことから

白色入国カードでビザを使って入国しようとしたところ、

「日本に帰任しているのなら緑色だ!」と言われてビザなしで入国した。

このことは入国した都市によって、そして審査官単位で判断が違う。

 

 

正解はどっちなの?やはり帰任したのならもうアメリカでポジションはないだろうし、

それを考えれば緑色のビザなしが正しいだろうとは思う。

しかしそれを受け付ける人が違うと判断すれば、その判断が優先だろう。

つまり答えはないのだ。

いくら論理的に答えて正当を訴えたところで何の意味ももたらさない。

どちらも正解であって、どちらも誤りである。

考えても無駄さ、だから入国カードは両方準備しておけばいい。

小さな問題点を大きく飲み込んで、どちらでも対応できる形を取っておけばいいから。


最初は入国審査に緑色のI−94Wを出せばいい。

こちらのほうが筋が通っている。

ビザを取った時ときっとあなたの仕事目的・訪問先企業などが変わっていることだろうから。

そこで何かを言われたらすかさず白いI−94を出せばいい。

「コイツ、やるなっ!」って表情を入国審査官はするはずだよ。

ほら、これで問題は解決される。

トラブルをスマートに回避するトラベラーだよ。

まっすぐ進むだけが能じゃない。

物事には様々な解決の方法があるんだしね。

 

 






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